企業が生成AIを社内活用する際の落し穴― 権利侵害リスクとその統制方法 ―
公開日:
文章作成や画像生成、資料作成など、さまざまな業務で生成AIの活用が広がっています。
業務効率化や生産性向上の観点から、多くの企業が生成AIの導入や活用を進めています。
生成AIは非常に便利なツールである一方、いくつかのリスクを伴うことを考慮すべきです。生成AIを安全かつ効果的に活用するためには、便利さだけでなく、リスクを正しく理解することが重要です。
企業が生成AIを利用する際に、特に注意すべきリスクとして、一般的に次の4つが挙げられます。
- 権利侵害
- 情報漏洩
- 誤情報(ハルシネーション)
- 偏見・バイアス
これらの中でも、特に企業活動に大きな影響を与える可能性があるのが権利侵害です。
生成AIは、インターネット上の膨大なデータをもとにコンテンツを生成するため、利用方法によっては意図せず他者の権利を侵害してしまう可能性があります。しかもその多くは、悪意ではなく「知らなかった」「AIが作ったものだから問題ないと思った」という認識から起こるケースが少なくありません。
もし企業が権利侵害を起こしてしまえば、法的責任だけでなく、事業やブランドにも大きな影響を及ぼす可能性があります。企業が見落としやすく、深刻なダメージを受けるリスクが権利侵害です。
そこで本記事では、
- 生成AI利用時に起こり得る権利侵害とは何か
- なぜ生成AIでは権利侵害が発生しやすいのか
- 企業にとってどのようなリスクがあるのか
- そして、そのリスクを防ぐために企業が取るべき対策
について整理していきます。
権利侵害とは何か?生成AIが侵しやすい6つの権利侵害
権利侵害とは、個人や法人が持つ法律上の権利(人格権、財産権、知的財産権など)を他者が無断で侵す行為を指します。生成AIが侵しやすい権利侵害は次の6つです。
特許権
特許権とは、発明者がその発明を独占的に使用できる財産権の一つです。権利の対象となる発明の実施(生産、使用、販売など)を独占でき、権利侵害者に対して差し止めや損害賠償を請求できます。
● 保護対象
技術的アイデア・プログラム・発明(アルゴリズム、構造、方法など)
● 生成AIで起こる主なリスク
- コード生成AIが特許技術を含むアルゴリズムを出力
- 設計AIが既存特許に抵触する構造を生成
● 特徴
- 登録が必要
- 保護期間は20年
- 技術系AIは特に危険
●罰則・トラブル
特許使用料の請求、該当技術の使用禁止、数億円規模の損害賠償が発生する
商標権
商標権は、商品やサービスの識別を目的とした商標を独占的に使用する権利であり、他者による無断使用を防ぐための法律的保護を提供します。
● 保護対象
- ブランド名・ロゴ・商品名・ブランドマークなど
● 生成AIで起こる主なリスク
- ロゴ生成AIが既存ブランドに酷似
- 商品名生成AIが登録商標を含む名称を提案
● 特徴
- 「混同を招くか」で判断されるため、似ているだけでも抵触する可能性あり
●罰則・トラブル
製品の全回収(リコール)、ブランド名の変更、商標権侵害による提訴される
意匠権
意匠権とは、製品などのデザインを保護する知的財産権です。創作者は他者による模倣を防ぎ、独占的な権利を持つことができます。
● 保護対象
製品の形状・模様・外観デザイン、色彩など
● 生成AIで起こる主なリスク
- AIが提案したプロダクトデザインが、他社の登録意匠を模倣している
- 家具・家電のデザインが既存意匠に酷似
- 3Dモデル生成AIが既存製品を再現
● 特徴
- 見た目の印象が似ているだけで侵害になる
●罰則・トラブル
製造ラインの停止、在庫の廃棄処分
著作権
著作権とは、「著作物」を創作した人(「著作者」)が、無断でコピーされたり、インターネットで利用されない権利です。 自分が創作した著作物を条件をつけて利用を許可したり、利用を拒否したりできます。
● 保護対象
文章・画像・音楽・動画など
● 生成AIで起こる主なリスク
- 既存作品に酷似した文章・画像を生成
- 著作物を外部AIに入力してしまう
● 特徴
- AI生成物でも「似ていれば」侵害になる
- 生成物が既存作品に「似ている(類似性)」かつ「参考にした(依拠性)」とみなされる
●罰則・トラブル
配信停止、損害賠償、著作権法違反としての刑事罰
肖像権
肖像権とは、自分の顔や姿態を無断で撮影・公表・利用されない権利です。個人の姿や情報など、私生活上の事柄を守るための権利で、有名人だけでなく、一般人にも認められている権利です。
● 保護対象
個人の顔・姿
● 生成AIで起こる主なリスク
- 実在人物そっくりの顔を生成
- SNS画像を学習したAIが本人に似た顔を出力
● 特徴
- 一般人でも強く保護される
- 「似ているだけ」で侵害になるケースもある
- 実在の人物(社員や一般人)に酷似した人物画像を生成し、広告等に使用する
●罰則・トラブル
掲載差し止め、慰謝料の請求
パブリシティ権
パブリシティ権とは、有名人や著名人の氏名や肖像などが持つ商業的価値を本人が独占的に利用できる権利です。
● 保護対象
有名人の顔・名前・声・キャラクター性など
● 生成AIで起こる主なリスク
- 有名人の顔を広告素材として生成
- 声真似AIで有名人の声を再現
- 有名人の声をAI学習させてナレーションを生成したり、容姿を真似たキャラを販促に使う
● 特徴
- 商業利用に厳しいため、広告・マーケティング領域は特に危険
●罰則・トラブル
巨額の損害賠償、芸能事務所との法的紛争
なぜ生成AIを利用すると権利侵害が起こりうるのか?
生成AIは、文章作成や画像生成などを効率化する便利なツールですが、その一方で権利侵害が発生する可能性を内在しています。利用者が悪意を持っているかどうかに関係なく、生成AIの仕組みそのものが持つ特徴によって起こり得るものです。ここでは、生成AIを利用する際に権利侵害が起こりうる主な理由を整理します。
学習データの不透明性
多くの生成AIは、インターネット上の膨大なデータを学習材料としていますが、どのサイトの文章を学習したのか、どの画像を学習したのか、著作物が含まれているのか、個人情報が混ざっているのかを公開していません。AIが学習した元データの中には、著作権などの権利が関係するコンテンツが含まれている可能性があり、個人情報や、極端な話、著作権者に無断でアップロードされた海賊版含まれているケースがあるかもしれません。その結果生成AIが、著作物に告知したデータをそのまま出力し、意図せぬ権利侵害につながる可能性があります。
生成物の予測不能性
生成AIは事実や正解を探しているのではなく、大量のデータをもとに統計的に結果を生成します。その結果、生成物が既存作品に似る現象が起こりやすく、利用者が意図していなくても発生します。
学習源を説明できないブラックボックス性
多くの生成AIは、生成したアウトプットに対し、「どのデータを使って学習したのか」「どの情報が生成結果に影響したのか」を個別に説明することができないため、正確に追跡することができないという問題があります。生成物の背景を完全に説明できないことが、権利侵害リスクを高める要因になっています。
例えば、既存の著作物を利用せず独自に生成されたものであると立証することは容易ではありません。また、特定の著作物との類似性や権利侵害のリスクを事前に検知・評価することが難しく、利用者にとって法的リスクがあります。
利用者側の指示(プロンプト)による誘発
生成AIは、基本的に利用者の指示(プロンプト)に従って出力を生成します。利用者側の指示(プロンプト)によっては、結果として権利侵害に近い生成物が生まれる可能性があり、権利侵害を誘発してしまう危険性があります。
例えば、「〇〇(特定の作家)風に描いて」「〇〇社のキャッチコピーを真似て」といった具体的な指示は、明確な権利侵害を誘発します。また、特定のブランドやキャラクターを想起させるキーワードを並べてしまうことで、利用者が意図せずとも権利侵害の境界線を越えてしまうケースもあります。
生成AI活用による権利侵害が企業にもたらすリスク
生成AI活用による権利侵害が発生すると、企業にとって様々なリスクが発生します。企業が直面する権利侵害のリスクを、「法的リスク」「事業リスク」「ブランドリスク」の3つの視点で整理します。
法的リスク
最も直接的なリスクが、法的責任の発生です。生成AIによる権利侵害が発生した場合、企業は様々な法律に抵触する可能性があります。主に以下の4つの領域で発生します。
■ 著作権
- 内容: 文章、画像、プログラム、音楽などの表現の模倣など
- 侵害の要因: AIが学習データ内の特定作品をほぼそのまま出力してしまった場合、意図せずとも類似性と依拠性が認められ、侵害となる可能性がある
- 実害の例
- 制作した広告、Webサイトの記事、動画などの即時公開停止と削除
- 権利者が本来得られたはずの利益(ライセンス料相当額など)の支払い
■ 商標権・意匠権
- 内容: ロゴ、商品名、製品の外観デザインなど
- 侵害の要因: 生成されたロゴが既存の登録商標と紛らわしい、混同を招く、製品デザインが登録済みの意匠と酷似している場合に発生する可能性がある
- 実害の例
- 市場に出回った製品の全件回収、パッケージの作り直しによる数千万〜数億円規模の損失
- ロゴや商品名の変更に伴う、看板、名刺、資材すべての刷新コスト
■ 肖像権・パブリシティ権
- 内容: 実在の人物の容姿、名前、著名人の持つ経済的価値など
- 侵害の要因: 特定の有名人に似た画像を生成し、広告等に無断で使用する
- 実害の例
- 有名人のパブリシティ価値を無断利用したとして、正規の契約料を大幅に上回る賠償請求
- 社会的な信用の失墜を補うための新聞広告やプレスリリースの実施費用
■ 特許権
- 内容: 技術的なアイデア、発明の仕組み、アルゴリズムなど
- 侵害の要因: AIが提案した技術的解決策(コードのロジックや構造)が、すでに他社に特許登録されている場合
- 実害の例
- 自社の基幹サービスや製品の製造・販売が法的に差し止められ、事業の柱を失う
- 継続して使用するために、競合他社に対して売上の数%を支払い続ける不利な契約の締結
事業リスク
生成AI活用による権利侵害の法的リスクが顕在化すると、事業そのものにも深刻なダメージを与えます。
■サービスの停止・コンテンツの削除
生成AIが生成したコードやテキスト、デザインに権利侵害が認められた場合、そのサービスを即座に停止せざるを得ません。
- 実害: Webサイトの閉鎖、アプリの配信停止、広告キャンペーンの中止など
- 影響: 復旧(作り直し)までの期間の売上機会損失に加え、開発チームが修正作業に忙殺され、新規プロジェクトが全て停滞
■製品リコール・廃棄
生成AIに設計させたプロダクトデザインや、パッケージロゴが意匠権・商標権・不正競争防止法に抵触した場合、市場に出回っている製品の回収(リコール)が発生します。
- 実害: 在庫の廃棄費用、配送業者への回収委託費用、代替品の手配
- 影響: 権利侵害発生により、多大な製造・物流コストが発生
■契約解除・違約金の発生
取引先や顧客との契約において「第三者の権利を侵害していないこと」を保証しているケースがほとんどで、生成AIによる権利侵害が発生した場合、契約解除や違約金が発生します。
- 実害: 契約の強制解除、および契約に基づいた多額の違約金の支払い
- 影響: 基幹システムの開発受託などでこれが発生した場合、企業の存続を揺るがす巨額の賠償に発展
■取引停止・サプライチェーンからの排除
大手企業やグローバル企業は、コンプライアンス基準を厳格に定めているため、生成AIによる権利侵害が発生した場合、その後の取引や販路に大きな損失が発生する可能性があります。
- 実害: 主要な取引先からの出入り禁止、ベンダー登録の抹消
- 影響: 「リスクのある企業」とみなされることで、長年築いた販路を失い、二度と参入できなくなるという長期的な市場排除を招く可能性
ブランドリスク
権利侵害は、法的な問題以上にブランド価値の毀損が深刻です。特に、SNS時代は1件の権利侵害が企業の信頼やイメージを大きく損なう可能性があり、その払拭・回復には多大な時間と労力を要します。
■ 社会的信用の失墜
生成AIによる盗用や模倣が発覚しそれがSNSで拡散されると、ブランドイメージや企業への信頼を一気に失う可能性があります。
- 実害: 不買運動の発生・過去のサービス等に関する不信感の広がり
- 影響: 誠実さをブランドの核にしてきた企業ほど、その落差によるダメージは致命的になり、ステークホルダーからの信頼を一度に失う
■ 顧客離れとファンの流出
現代の消費者は、製品の機能や品質だけでなく「その企業がどう取り組んでいるか」という姿勢を重視しているため、企業による生成AIによる盗用や模倣が発覚した場合、顧客離れやファンの競合への流出が加速します。
- 実害: 従来の顧客離れやファンコミュニティの崩壊を招く
- 影響: 生成AIを用いた模倣は、ブランドに愛着を持っていた熱心なファンを最も深く傷つけ、競合他社への流出を招く
■ 採用力の低下(優秀な人材からの敬遠)
特に、デジタルリテラシーの高い若手層や専門職は、企業のコンプライアンス姿勢を厳しくチェックしているため、企業による生成AIによる盗用や模倣が発覚した場合、採用に大きな影響が出て、優秀な人材が集まらない可能性が高まります。
- 実害: 内定辞退率の上昇や求人応募数の減少
- 影響: 知財リスクを管理できない会社・クリエイティビティを軽視する古い体質の会社とみなされ、将来の成長を担う優秀な人材が獲得できない
権利侵害を防ぐ方法
生成AIの権利侵害リスクを未然に防ぎ、管理可能なレベルまで抑え込むため、企業が取るべき具体的な方法を、「ツール」「運用」「組織」「人」の4つの側面から考えてみます。
権利侵害を起こさない生成AIサービスの利用と法的補償の活用
権利侵害を起こさない生成AIサービスを選定することで、入り口から対策します。
● 学習データの透明な生成AIサービスを活用
学習データに、著作権切れの作品や、フリー画像・正規にライセンスを受けた画像のみを用いている権利関係がクリアなAI(例:Adobe Fireflyなど)を優先的に採用する。活用する生成AIの元データをクリーンにします。
● 権利補償条項のあるサービスを検討
Microsoftなどが提供するもしAI生成物が第三者の権利を侵害して訴えられた場合、ベンダーが法的な費用や賠償を補償するサービスがあり、企業にとって保険となります。
- Microsoft規約URL: Microsoft Licensing Terms (Product Terms)「Customer Copyright Commitment」の項を参照
生成物のチェックを必ず行う
AIの出力した生成物をそのまま使用するのではなくあくまで下書き・たたき台であるとみなし、人間が最後に生成物をチェックする体制・ルールを構築します。
● AIによる類似性チェック(類似検索ツール活用)
Googleレンズや商標検索ツール、コピペチェックツールを活用し、既存の作品やブランドと酷似していないかチェックすることで、類似画像検索、類似文章検索、商標・ロゴの類似判定、意匠の類似判定など、 人手によるチェックでは発見が難しいような類似性を検出することができます。
● 人手によるチェック
生成物を利用する前に必ず確認し、特許・著作権・商標・意匠・肖像・パブリシティの観点で審査。外注先の成果物も必ずチェック対象に含める。AIが見落とす可能性がある微妙な類似性を人間が補完し、人が最終判断するという体制を構築します。
ガバナンス体制の構築
ガバナンスがないと、どのAIを使っていいのか、何を入力していいのか、生成物をどう扱うべきかなど曖昧になり、組織として統制されず、無意識の権利侵害が日常的に発生するようになります。生成AIによる権利侵害リスクを抑え込む仕組みづくりが重要です。
● 生成AI利用のガイドライン整備
入力してはいけないデータ(例:機密情報、個人情報、顧客データ、社内資料)、禁止するプロンプト(特定の著作物や作家名指定)など入力禁止情報の定義・ルール化。生成物の外部公開前のチェック、商用利用の可否、外注先の利用ルールなどを明確化し整備する必要があります。
●承認フローの確立
公開性の高いコンテンツ(広告や製品ロゴなど)やSNS投稿などについて、法務部や知財担当者によるAIリスク審査を行うなど、リスク度に応じた承認フローをの確立することを推奨します。
●シャドーAI(無許可利用)の禁止
プライベートで当たり前にAIを使っている若手社員、インターン、アルバイトなどによるシャドーAI(無許可利用)は、権利侵害が起こる危険性が高いです。社員が勝手に個人用のAIを使わないよう、許可された外部AI以外のAIの利用禁止などの厳重な管理が必要です。
●外注先のAI利用のチェック管理
外注先が生成AIで作った画像や文章が、 実は他社の権利を侵害していた というケースが多数発生しています。十分な検証なしに納品された成果物によって発注元である企業が訴えられるリスクがあります。外注先の成果物のチェックとともに、どんなAI利用をしているか管理することもとても重要です。
全社的なリテラシー教育
生成AI活用において、ツール導入やガバナンス構築、チェック体制の整備だけでは、ルールやシステムだけでは完全に防ぐことができないリスクが存在します。最終的に操作するのは人間であるため、社員が誤ってAIを使ってしまうリスクは防ぎきれません。社員のリテラシー向上が最も重要であり、社員一人ひとりのリテラシー教育により、社員全員がAIに関する最低限の理解を持たないと事故は防げません。
● ルールやシステムをいくら整えても権利侵害は起こりうる
企業が生成AIの利用ルールやシステムを整備しても、現実にはさまざまな場面でルール・システム外の行動が起こり得ます。
- 社員が個人のスマートフォンで生成AIを利用する
- 通勤中に生成した画像や図を、そのまま資料に使う
- 外部ツールで作成した文章を社内資料に流用する
など、生成AIがスマートフォンでも簡単に利用できる日常で、特に若い世代にとっては、生成AIは特別なツールではなく、検索エンジンの延長のような存在になりつつあります。そのため、企業がどれだけルールやシステムを整備しても、ルール・システム外のことはいくらでも起こり、社員個人の判断によってリスクが発生する可能性は残ります。
● 社員の理解不足が無意識の権利侵害を起こす
多くの権利侵害や情報トラブルは、悪意ではなく知識不足から起こるケースも少なくありません。
- AIが生成したものなら自由に使えると思っていた
- インターネット上の画像は自由に使えると誤解していた
- AIが出力した情報は正しいと思い込んでいた
- 外注の納品物はプロだから安心
といった社員の知識不足や理解不足が原因で、無意識のうちに権利侵害リスクにつながることが多いです。
● 社員全員のリテラシー教育を行うということが最大の対策
生成AI時代において重要なのは、一部の専門部署だけが知識を持つことではありません。全社員が最低限のAIリテラシーを持つことが重要です。
- 生成AIの仕組みを理解する
- AIの出力は必ず確認する習慣を持つ
- 権利侵害のリスクを理解する
- AIが作ったものでも責任は人間にあることを認識する
といった基本的な理解を共有することです。
このようなリテラシーが社内に浸透していれば、個々の社員がリスクを察知し、未然に防ぐことができるようになります。ツール選定、生成物のチェック、利用ガイドラインも、それらを支える土台となるのは、人の理解と判断力です。
生成AIが急速に普及している今、企業にとって最も重要なリスク対策は、社員全体のAIリテラシーを高めることと言えるでしょう。生成AIは適切に使えば、生産性を大きく高める強力なツールです。その価値を最大限に活かすためにも、企業には全社的なリテラシー教育が求められています。
【まとめ】AI利用における権利侵害リスクと企業が取るべき姿勢
生成AIは、業務効率化や生産性向上を実現する強力なツールです。
しかしその一方で、権利侵害リスクが存在することも忘れてはいけません。
生成AIによる権利侵害は、利用者の悪意によって起こるものばかりではありません。
AIの仕組み上、意図せず発生する可能性があります。
ただ、もし権利侵害が発生すれば、企業は法的リスク・事業リスク・ブランドリスクを被ることになります。
そのため、企業では生成AIを導入する際に、権利に配慮したAIサービスの選定、生成物のチェック体制の整備、社内ルールの策定などの対策が必要になります。
ただ、どれだけルールやシステムを整備しても、すべてのリスクを完全に防ぐことはできません。スマートフォンで簡単に生成AIを使える時代では、ルール外での利用が発生する可能性もあります。だからこそ、生成AI利用者全員のリテラシーを高めることが重要になってきます。
生成AIは、正しく使えば企業の大きな力になります。
その価値を最大限に活かすためにも、企業にはリスクを理解したうえでの適切な活用が求められています。
鈴木雅義
情報機器メーカーにて、法人向け営業として長年にわたり従事。多様な業種・業態、規模の企業に対し、新規顧客開拓から課題解決型のソリューション提案、アライアンス連携、導入後の保守サポートまで一貫して対応し、顧客との長期的な信頼関係を築いてきました。
45歳で早期退職制度を活用し、第二のキャリアとしてITベンチャー企業やヘルスケアソリューション企業に参画。
新たな環境での挑戦を通じて、Webシステムを活用したITソリューションの企画・導入、健康、ウェルネス分野における地域課題解決型の事業推進などを経験しました。
現在は、業務委託や地域コミュニティ活動などに従事しながら、これまでの経験や知見を活かして、地域社会や次世代への貢献に取り組んでいます。
特に、高齢者のやりがい・生きがいの創出や、「貢献寿命」の延伸に関心を持ち、「年齢を重ねても、誰かの役に立てる喜びを感じながら生きる」——そんな社会の実現に向けて、自らも実践者として歩みを進めています。


